空虚。 そんな名前の闇と関わるようになってから、どれだけの転生を繰り返したろうか。 完結されていたはずのループに、今、再び穴が開いた。 突然切られた。 ただ、虚しく満たされない。 その穴を、最初に開けたのは誰だ。 その穴 […]
カテゴリー: 星紡夜話・みなもの光
小さな家のドアが開いたのに気付いて、メイシンが振り返った。 「おかえ……」 いつものように迎えの挨拶をしようとして、彼女は思わず絶句する。 開かれたドアの向こうに立っていたのは、金髪の長いくせ毛をけぶらせ、白く大きな翼を […]
「‥‥お前は、前に文句言いに来たんじゃなかったのか?」 ツイン契約の許可を得にきた少女を見下ろして、金髪の大天使は静かに言い放った。 ……確かに、少女がツインの事で散々言いたい放題言いにきたのはつい先日のこと。 メイシン […]
「あんたたち、元々ツインだったんだ……」 呆然と呟くメイシンに、ジェレミーとマーシアは苦笑を返す。 しばらく手入れをしていなかった庭を、四人は総出で見回っていた。 伸び放題の薔薇を前にして、メイシンは意気揚々とハサミを構 […]
メイシンの寝室の外、そのドアのすぐ横で、ジェレミーは壁にもたれて二人の様子を感知していた。 もう逃げるなよ、か。 メイシンの、愛する者を引き寄せる「強さ」を、彼は素直に敬服する。 アクアマリンの瞳を閉じて、青年は静かに息 […]
長かった。 とても長く感じられた。 あなたまで辿り着くために、 一体どれだけの転生を繰り返したのだろう。 差し込む光が眩しく感じられて、メイシンはうっすらと瞼を開いた。 目を開くと、見慣れた天井が飛び込んでくる。 自分の […]
運命を決める戦場は、いつになく静かだった。 嵐の前の静けさか。 「俺から離れるなよ」 傍らに立つ少女に、青年は念を押す。 少女は、少し笑っただけだった。 昔のような輝く笑みを、もう少女の顔に見ることはなくなっていた。 空 […]
長く続く大戦の世に、送り出された儚い命。 私たちは、大きな強い光と、願いと意志から零れ落ちた、小さな欠片。 強い意志を宿した、ピーコックグリーンの鋭い瞳。 薄い金髪の短い髪に、赤いマントがよく似合う。 その後姿に、ずっと […]
何から始まったのか分からない。 きっかけがどこにあったのかも思い出せない。 ただ、ずっとくすぶっていた想い。 わたしは認められたいの? 全ての人に愛されたいの? 確固たる地位を確立したいの? いいえ。 わたしは認められな […]