泉の傍で、木々が優しくざわめいた。 白いローブをまとい、癒しの大天使は泉のほとりを歩く。 その胸に、小さな赤子を抱いて。 ラファエルのエメラルドの瞳が、柔らかい赤子の小さな瞳を覗き込んで微笑んだ。 見上げる赤子の瞳は、空 […]
カテゴリー: 星紡夜話・カスタリアのほとり
涙の波紋が広がり続ける泉のほとりに、白い足音が近づいた。 暖かい金茶色がけぶる髪に、エメラルドの瞳。 やがて彼は、泣き伏せる少女の傍に、長身を折り曲げた。 優しい気配に、マーシアは涙で腫れた目を上げた。 。。。ラファエル […]
そこは、果てしなく闇の広がる世界。 光るものは何一つなく、ただ、もしあるのならば「無」だけが存在するかのような場所。 マーシアは、ゆっくりと下へ降りていった。 闇が、体にまとわり付く。 底なし沼に沈んでいくように、飲み込 […]
ただ、過去の自分に、どんよりと漂い続けている。 今のままでは、何も始まらず、何も終わらない。 マーシアは空を見上げた。 いつもと変わらず、澄み切った淡い青空に、かすかに雲が漂う。 森の木々の切れ間から、それを見上げる瞳は […]
クリロズでの出版記念ライブが終わった翌日。 三次元のひつきは、例によって好転反応で腹を壊していた。 そしてなぜか、ひつきの夫も、朝おきぬけにトイレに往復。 メイシンは首を傾げていた。 昨夜ライブに行ったのは、自分と、ジェ […]
「そういえば、マーシアは?」 ポタージュを口に運びながら、メイシンがつぶやいた。 彼女はあの泉から離れたくないようだ、とジェレミーが答える。 「離れたくないって。。ずっとそこにいるわけ?家に帰らないの?」 「家を持とうと […]
広場で剣を振るっていたメイシンに、そっと近づく気配があった。 振り返ると、明るい茶色の癖毛に、アクアマリンの瞳に新緑を写した、優しそうな青年が立っている。 「あ~。。」 あんた、守護天使だ。「ひつき」の。 メイシンが言葉 […]
「会いに行ってみる」 唐突に、メイシンは口走った。 目を見張る青い瞳を背にして、”佐守”に焦点を合わせようと振り返ると、 目の前に、金髪の大天使が立っていた。 大天使は表情を動かさず、琥珀の瞳に言う。 「まだ早い」 「な […]