涙の波紋が広がり続ける泉のほとりに、白い足音が近づいた。
暖かい金茶色がけぶる髪に、エメラルドの瞳。
やがて彼は、泣き伏せる少女の傍に、長身を折り曲げた。
優しい気配に、マーシアは涙で腫れた目を上げた。
。。。ラファエル様。
エメラルドの瞳が、優しく頷いた。
「彼が来たでしょう?」
大天使の言葉を、少女はすぐに理解できなかった。
「ずっとあなたに呼びかけていますよ」
呼びかける声など聞こえてこない。。涙を流すことばかりに心奪われ、気付かなかったのか。
しゃくり上げそうになるのをこらえ、胸を押さえてそっと目を閉じる。
。。。ああ、ジェレミー。。
彼女のハートに、アクアマリンの優しげな波動が広がった。
「受け入れなさい」
ラファエルが囁いた。
「あなたは、受け取ることを覚えなければいけませんよ」
(吐き出しちゃえばいいじゃない)
メイシンの声が聞こえた。
(出すもの出してしまわないと、受け取れるものも、受け取れないんだよ)
「わたしは。。。」
一言息を吐いて、すぐ胸が詰まった。
受け取ってもいいの?
与えられるものを受け取ってしまっていいの?
(。。あんた、自分からはホイホイあげるくせに、自分はちっとも受け取らないんだねぇ。。)
メイシンの、呆れた声が聞こえた。
「。。。そうかな。。。わたし。。受け取ってないかな。。。」
私は不幸ではない。そう思っていたのに。
苦し紛れのような返事になってしまった。それで気付いた。
私は辛かったのだ。
胸が焼けるような感覚を覚えた。
今まで感じたことのない感情だった。
言葉ではなく、感覚がこみ上げそうになる。
必死の思いで、マーシアはエメラルドの瞳を見上げた。
「。。わたし。。。。わたし、辛かった。。。みたい。。」
何とか言葉になったのは、それだけだった。
藍色の髪の少女は、大天使の腕にすがって泣いた。
今まで出したことのないほど、大声を上げて。
エメラルドの優しい波動が、泉を包み込んでゆく。
はい。謹慎中だったはずの彼、割り込んできました。(笑)
このマーシアさん。これは私の悪い癖でね。
許容範囲以上のものを引き受けて、つぶれていくタイプ?
気付けてよかったなぁと思います。
癒してもらえてよかったなと思います。
もっともっと癒さなきゃと思いますよん。
さて。今日はもうちょっと書けるかな?