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風の小径 星紡夜話会員記事暫時全体公開 星紡夜話・カスタリアのほとり

【星紡夜話】カスタリアのほとり9・受容

涙の波紋が広がり続ける泉のほとりに、白い足音が近づいた。

暖かい金茶色がけぶる髪に、エメラルドの瞳。
やがて彼は、泣き伏せる少女の傍に、長身を折り曲げた。
優しい気配に、マーシアは涙で腫れた目を上げた。

。。。ラファエル様。

エメラルドの瞳が、優しく頷いた。
「彼が来たでしょう?」
大天使の言葉を、少女はすぐに理解できなかった。
「ずっとあなたに呼びかけていますよ」

呼びかける声など聞こえてこない。。涙を流すことばかりに心奪われ、気付かなかったのか。
しゃくり上げそうになるのをこらえ、胸を押さえてそっと目を閉じる。

。。。ああ、ジェレミー。。

彼女のハートに、アクアマリンの優しげな波動が広がった。

「受け入れなさい」
ラファエルが囁いた。
「あなたは、受け取ることを覚えなければいけませんよ」

(吐き出しちゃえばいいじゃない)

メイシンの声が聞こえた。

(出すもの出してしまわないと、受け取れるものも、受け取れないんだよ)

「わたしは。。。」
一言息を吐いて、すぐ胸が詰まった。

受け取ってもいいの?
与えられるものを受け取ってしまっていいの?

(。。あんた、自分からはホイホイあげるくせに、自分はちっとも受け取らないんだねぇ。。)

メイシンの、呆れた声が聞こえた。

「。。。そうかな。。。わたし。。受け取ってないかな。。。」

私は不幸ではない。そう思っていたのに。
苦し紛れのような返事になってしまった。それで気付いた。

私は辛かったのだ。

胸が焼けるような感覚を覚えた。
今まで感じたことのない感情だった。
言葉ではなく、感覚がこみ上げそうになる。

必死の思いで、マーシアはエメラルドの瞳を見上げた。

「。。わたし。。。。わたし、辛かった。。。みたい。。」

何とか言葉になったのは、それだけだった。
藍色の髪の少女は、大天使の腕にすがって泣いた。

今まで出したことのないほど、大声を上げて。

エメラルドの優しい波動が、泉を包み込んでゆく。


はい。謹慎中だったはずの彼、割り込んできました。(笑)

このマーシアさん。これは私の悪い癖でね。
許容範囲以上のものを引き受けて、つぶれていくタイプ?
気付けてよかったなぁと思います。
癒してもらえてよかったなと思います。
もっともっと癒さなきゃと思いますよん。

さて。今日はもうちょっと書けるかな?

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