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乳癌闘病記録

「肉体変容の覚書」⑧手術入院編│自己メンテナンス

乳がん闘病の記録、第8弾です。

前回までの記事はこちらへ。
➀検査編
②続・検査編
③術前化学療法編(DOC療法1クール目)
④術前化学療法編(DOC療法2クール目)
⑤術前化学療法編(DOC療法3~4クール目) 
⑥術前化学療法編(EC療法1~4クール)
⑦化学療法治療結果と術式決定編

【前回記事終了時点の状況】
・6か月にわたる術前化学療法(抗がん剤治療)が終了。
・残存する副作用:全身に現れては消えるアトピーのような発疹と痒み。両手足の爪は硬度が戻ってきて回復傾向。毛髪、眉、まつ毛は新しい毛が生えてきて徐々に回復傾向。
・抗がん剤による痛みや吐き気はもうないが、体力や筋力が落ちている状態。
・抗がん剤治療により元巣が23mm→7mmに縮小。リンパ節の転移癌は画像で確認できない状態まで縮小。
・術式決定。「左乳房部分切除術及び腋窩リンパ節郭清術」

【本題】
平たく言うと、左胸の乳首から下、数センチを切除、左脇の下のリンパ節を切除。という手術です。

最初から個室に入れたので、入院中ですが記事書きます。
手を動かした方がいいし~。(何でもリハビリ)

■2019年2月20日 入院
入院してから手術まで、結構バタバタでした。
説明が山ほどあって、荷物広げたり、病棟の施設を把握したり。
手術室に持っていくものチェック!、手術前なのでシャワー浴びて!、眠れないだろうから睡眠導入剤飲んで!、日付変わったらもうお水も飲まないで!。。みたいな。

■2019年2月21日 手術
翌朝起きてまだ頭がボーっとしてるうちに看護師さんが迎えに来て「じゃあ手術室に行きましょうか~」って感じだったので、正直緊張する暇もなかったのでした。ホントに。(笑)

 

血栓予防の靴下です。締め付けがきついストッキングのようなもの。これを履いて手術室へ向かいます。

・手術室の手前に待合みたいな部屋があって、朝イチの時間なのに患者さんが沢山いた。
・私は待合に入ってすぐに呼ばれて手術室へ移動。
・この病院手術室めっちゃある。。数えてないけど10室くらいはあるんじゃないか。。しかもみんな手術中ランプついてるぞ。。思い出した。私10番の部屋だったんだ。
・。。ええっと。。ここが手術室?なんかドラマとかで見るのと全然違うんだけど?色とりどりの大きなカバーがかかった機械?に山ほど囲まれて、小さな細いベッドが部屋の真ん中にひとつありまして。。めっちゃごちゃごちゃしてるけど物置じゃないですよねここ?←
・看護師さんたちに名前とか術式とか色々確認させられて、上半身脱いで手術台に上がったら、あれよあれよという間に点滴針入れられて「点滴から麻酔入りまーす」からの「手術台から落ちないように手足ベッドに縛りますねー」って言われた直後からもう記憶がない。
・意識が戻った時に「手術終わりましたよー」「隣のベッドに移るので背中の下に板入れますよー」って声は良く聞こえるんだが瞬きしても目がよく見えない。瞼が重たい。
・病室から運ばれてきた寝台に移され、寝台ごとガラガラガラっと移動してエレベーター乗る音は聞こえるんだが移動速度に身体がついて行けなくて気持ち悪くなり頭くらくらしていた。(麻酔のせい)
・というわけで手術室に入ってから病室に運ばれるまで主治医どころか医者の姿を全く見ないまま手術終わった。←

手術自体は、予定通り成功。
左胸は、切断面に癌細胞が見つからなかったので、それ以上余分に切除される事もなく、予定通りの約4㎝四方切除で済んだ。
一度転移したリンパ節は癌細胞のあるなしに関わらず切除が決まっていた。

付き添いだった夫は、手術後に「これを切り取りました」って切除したものの画像を見せられたらしいのですが、
「どこに癌があるのか分からん。ただの『肉片』って感じやった」
と、いつも通りの軽い口調と笑顔で私に報告してくれました。
おまえ、妻の切り取られたおっぱいの一部見た感想がソレなんかぃ。
って思わなくもないですが気にしてませんよ。はい。←
夫は手術の創も平気でまじまじ見てくる人なんだよね。妻への労りよりも手術痕への好奇心の方が確実に勝ってる様子でした。「なるほど~こうなってんのか~」って好奇心丸出しで納得してたので夫本人はそれで良いんでしょうけどね。

。。夫の言動を気にするだけ私の方が損害が増すんですよ。精神的に。←
私の心は私が労わってやればいいのです。

胸の形としては、下半分が凹んでる感じです。今のところは。
自分目線で真上から見ると、乳首が下向いちゃってるので陥没してるように見えるんですが、鏡に映すとさほど大きな損傷には見えない。。胸自体はちゃんと存在感ありますしね。。ただ、凹んでるんだよね。(^^;)。。でも、全く無くなってぺったんこよりは、精神的ダメージは少ないです。本当に良かった。
。。それより郭清した脇の方が痛い。。脇が。。orz

 

手術後、一番最初に見えた景色がこれ。手だけは動かせたので、意識が戻ってから最初にスマホで撮った写真がこれ。(笑)

 

話は元に戻ります。手術後のお話。
手術直後はこんな↓状態。

・血栓予防の為両足にマッサージ器のようなポンプをつけられている。(足が動かせれば外れる)
・酸素マスクをしている。(麻酔がある程度醒めるまで。麻酔が残ってると呼吸が浅くなり酸欠になる為)
・手術当日は起きあがれないので尿道管をつけられている。(手術翌日起き上がれたら抜ける)
・右手に点滴をしている。(抗生剤や栄養など。2日間ほど)
・左脇の下の切除したリンパ節から血液やリンパ液を排液する為、ドレーン(排液管)を脇の下に入れられている。(私は約4日で抜けた。個人差あり)
・胸を圧迫する為のバンドを締められている。(手術で取り除いた部分に血液や分泌物が溜まらないようにする為。退院する頃まで毎日締める)

当然ですが手術後の夜が一番最悪でして、
痛くて息苦しくて寝れたもんじゃない。
痛み止めを2回入れてもらい、眠ろうとすると呼吸が浅くなり酸素濃度が下がるので目が覚めてしまって寝れない。(意識的に呼吸しないとちゃんと息が出来ない)
なので、しばらく鼻からチューブで酸素吸入してました。

■2019年2月25日 全ての管が身体から抜ける
起きあがれるようになると気分も楽になって、そこからの回復は割と早い方じゃないかな。排液量が少なくてドレーン(排液管)も早めに抜けたようだし。。ドレーン抜けた後、担当してくれた看護師さん達とすれ違うたびに「管ぬけたね?おめでとうございます!」って言われたのが印象的でした。(要するに嬉しかった)

ドレーンというのがよく解らないという方がいたようなのですが、写真のような透明な管が、手術した脇の創に刺さっている状態です。これは入院時に撮った私の写真。
看護師さんが毎日、ボトルに溜まった排液の量や色を確認しに来ます。これが抜けないとリハビリを始められません。

ドレーン繋がってる間もなかなかしんどかったですが、それと同じくらい私を苦しめたのは胸を圧迫するバストバンドでして。
肋骨が動かないくらい締め上げられるので、呼吸浅くなるわ、あくびも出来ないわ、ご飯食べるのに何故かハァハァ言うわ、皮膚が負けちゃってかぶれるわ、水ぶくれがあちこちに出来るわ。という感じで手術創よりも痛々しいんですよ水ぶくれの方が。←

手術の創より、水ぶくれの方が、痛い。←

でもこれ、締めないと体の中に排液が溜まっちゃって、最悪注射器で液を抜かなきゃいけなくなる、とか言われて、嫌だめっちゃ痛そう。と思ったので頑張って締めます。何日も締めてると慣れてくるもので、今はさほど苦しくないです。(笑)
バンドも退院する頃には取れるのではないかと。

痛み止めに処方された薬が、抗がん剤の副作用緩和薬と同じものでした。
皮膚かぶれの痒み止めに、同じく副作用緩和薬の発疹薬を飲んでおります。これ効く。
今まで処方されて余ってる薬は割と自己判断で飲めるので助かる。(看護師さんに報告はしてます)

そして、
水ぶくれよりも、手術で強張った筋と刺激された神経の方が、もっと痛い。

■2019年2月26日 リハビリ開始
というわけで、手術後、可動範囲が狭くなってしまった左腕のリハビリが始まりました。現在進行形。
最初は肩から上に腕が上がらなくて、主治医に「それじゃ退院できないな~!痛くても痛み止め飲んでがんばって!」って発破かけられたので、その日の夜は刀剣乱舞しながらずっと左手を動かしてましたね。2時間ぐらいだけど。一晩で真上まで上げてやらぁっていう感じでね。(笑)

次の日のリハビリで左腕が鼻先に並ぶくらいまでは上がるようになってました。
看護師さんやリハビリ技師に、「あっもうそれ以上は痛かったら無理しないでいいから(^^;)」って言われました。
はい。
飴と鞭ですね。←
私負けず嫌いだよね。多分ね。←
火星の制御って難しいですね。←(占星術的な話)

手術直後は、左手に雷落ちたみたいな電気走って激痛が何度かあったんですけど、今はだいぶ落ち着き、腕の内側を触ったら痺れるような痛み、という程度。
完全にしびれが無くなるまでに3か月とか。。個人差があるらしく、ハッキリとは言えないけど時間かかるようです。

そして脇の筋が突っ張って伸びないのです。「手術で筋肉がビックリしている状態」とか看護師さんが言ってましたが。。これをリハビリして動くようにしていきます。

リハビリメモ
➀仰向けになり、両手指を組んで、右手で左手を動かす様に頭上に向かてゆっくり上げる。腕は左手寄りに。左手が真っすぐになるように。(傷にこすらない)

②両肩を真っ直ぐ上げ下ろし。(肩だけを動かす)

③肩甲骨を背骨に寄せるように動かす(肩と背中だけを動かす)
肩甲骨が動かないと腕が真上まで上がらない、と言われたので私は特にこれをせねばならん。。(普段猫背だから)

今教わってるのはこの三つ。
あと、腕を真横から上にあげるリハビリをしたいんだが。。
(※リハビリ技師いわく、まずは前から上に腕が上がらなければ横からは上がらない。肩甲骨を動かすと腕が上がるのが楽になる。)

・腕は寝ながら上げた方が上がりやすい。
・最初は右手(手術してない方の手)で支えながら上げ下ろし。
・右手無しでも左手が右手と同じ感覚で上がるようになったら、ダンベルなどを持って筋トレしても良い。

術後のリハビリなどの資料リンク
乳房切除術後のリハビリテーション
乳がん手術後の暮らしとバストケア
乳がん術後と放射線治療後の皮膚のケアについて

リンパ浮腫について
教室で色々聞きましたが、細かい事はいま書きません。後で気が向いたら追記しますが、
・とにかく重たいものを持たない事。
・生涯通して10キロの米袋とか重たいものを持たない。
・翌日に疲れが残るような重たいものは持たない。
・疲れたと思った時にこまめに休む事。
・手術した側の腕に擦り傷や切り傷を作らない事。虫に刺されない事。
・急激な日焼けをしない事。(日焼けも皮膚の怪我と同じ)

。。とにかく、「重いものは持つな持つな」なのです。
手術した側の腕に、強い負荷がかからないようにするのが大事なのだそうで。
リンパ浮腫って、一度なってしまうと、完全には元に戻らないそうです。
治療しても気休めみたいな感じで。。だから怖いくらい脅される。(^^;)
予防に力を入れるしかない、という感じです。

リンパ浮腫、重症化するとどうなるかというと、腕が倍ほど腫れて太くなります。
右と左で倍ほど腕の太さ違う患者さんの写真を見せられまして。それが元に戻らないわけですよ。
あなおそろしや。

リンパ節を取ってしまうと、やがて細い脇道が出来てリンパ管は繋がるんだけど、「節」までは修復できない。ので、私の身体は老廃物をまとめてポイする場所(リンパ節)を一つ失ってしまった状態なのですね。
排水溝が一つ減ってしまうと、その周りに水が溜まる。。水が床や壁(細胞)にしみ込んで。。お部屋全体(腕)がブクブクと膨張。。簡単に言うとリンパ浮腫のイメージってそんな感じかな、と捉えています。

リンパ節取ると大変ですね。。リンパ節大事ですよ。。お肌なでなでして労わってあげましょう特に女性のみなさん。。

リンパマッサージの強さ(リンパドレナージュ)
・本当に優しく撫でる程度。
・取ってしまった左脇以外のリンパ節(右脇、足の付け根、鎖骨の付け根など)へリンパ液を流す。

これ、実際にやってもらってびっくりしたんだけど本当に優しくなでなでするだけ。
本当にこんな些細な事で、リンパ浮腫防げるの?って思わなくもないけど、強く押すと皮下0.7mmの所にあるリンパ管が潰れて液が流れないそうです。本当になでなでです。なでなで。

。。そういえば自分をなでなでしてあげる事ってなかったな。。もっと自分の身体を労わってあげよう。と今更ながら思いました。

なでなでの癒し効果半端ないですね。(笑)

とりあえず簡単に書きました。
リンパ浮腫を予防する為にも、運動はしなきゃいけない。でも重たいものを持てない、激しい運動も出来ない。自分の身体がどこまで許容するのか分からないので、難しいですね。
これからの運動方法を、もう一度考え直すべきか。。それとも、快復したら思っていた通りの運動が出来るのか。とにかく痛みが無くなるまで、がんばってリハビリするしかないですね。話はそれからです。

とりあえず、腕の痛みが無くなって、元通り動くようになったら、もう一度旅行します。それを目標に頑張ります。退院する前日に出た夕食。

 

■2019年3月4日 退院
午前中に退院。
・退院直前に外科医(主治医の助手)に呼ばれ、リンパ節郭清部分をエコーで診ながら、溜まってるリンパ液を注射器で抜かれ、更に手で絞り出されましたとほほ。←
・まだ脇の下にリンパ液が溜まる状態だったので、「脇の圧迫は続けてください。退院後に心配だったら外来受診して創見せてください」と医師に言われた。
・「退院してもいきなり元通り動こうとしないで~。入院中と同じくらいの生活から始めて徐々に慣らしていってください」と看護師さんに言われた。

胸の創はバストバンドでぎゅうぎゅう締められるのですが、脇まで上手くカバーできなくて、脇の創が完全に塞がらない状態。なので排液が止まらないんですよね。
退院する前に担当外科医に「脇の圧迫が上手く出来ないので、脇を集中的に締める事の出来る肩バンドみたいなものはないか、と尋ねたところ、「いやそんなのは無いですね、無理でしょ」みたいな返事が返ってきたので、

無いのは判ったが「無理」って事はないだろう。おまえ医者なのに頭悪いな。←

という反骨精神で、自宅に戻った後100円で買える材料で作ったオリジナル脇締めバンドの作り方をご紹介。←

材料は100円ショップのキャンドゥで買いました。サポーター用のゴムですが同じ幅のゴムなら何でもよいです。
これを2袋購入しました。

これを一部解体して切って縫っていくだけ。

脇の創にガーゼやタオルを当てて、その上からこのバンドで締めます。

着けるとこんな感じになります。
脇だけを集中的に圧迫できるのですごく効果てきめんです。
入院中10日以上バストバンドで締めても止まらなかった脇創からの排液が、これをつけてから3日で完全に止まりました。
材料費はたったの200円(+消費税)です。同じ悩みで辛い思いをされている方は是非お試しください。

 

■2019年3月25日 外来診察、病理結果判明
手術の時に切り取った癌細胞から、今後の治療方針が決まります。
私の場合は部分切除なので、放射線治療する事は決まっていますが。

 
これで、癌治療の大きな山は越えました。
次の記事は、多分三月末頃です。

→「肉体変容の覚書」⑨病理結果と今後の治療編 へつづく

 

 

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