ただ、過去の自分に、どんよりと漂い続けている。
今のままでは、何も始まらず、何も終わらない。
マーシアは空を見上げた。
いつもと変わらず、澄み切った淡い青空に、かすかに雲が漂う。
森の木々の切れ間から、それを見上げる瞳は、まるで鏡のようだった。
空がざわめく。
行かなければならない。そんな気がした。
白い背中に、透明な羽が開く。その姿は、水の上から飛び立つ、白い妖精のようだった。
時を置かず、青々とした芝生の上に降り立った。
見上げる空一面に、新緑の葉が広がる。
彼女が立っていたのは、巨木のすぐ傍だった。
白い手を、幹に伸ばした。
硬い表皮に、頬を預ける。
「。。。。おかえり。。おかえり。。」
優しいささやきが、胸に心地よかった。
しばし巨木に体を預け、目を閉じる。
行かなければならないの。。。
彼女のつぶやきに、誰かが答えた。
あの場所ね。。。あの場所。。
行ってらっしゃい。。。
大丈夫。。大丈夫。。
ゆっくりと、マーシアは瞳を開けた。
振り返ると、はるか遠くに、洋館が小さく見える。
透明な羽を、彼女は再び広げた。ふわり、と宙に浮かぶ。
玄関にたどり着くまで、さほど時間はかからなかった。
白いドレスの裾を風に預け、ふわりと彼女は降り立った。
ゆっくりとドアを開け、中に入ると、広いロビーを見渡す。
初老の執事らしき人物が現れた。
彼に静かに会釈をすると、マーシアはロビーを左へと進んでゆく。
行くとすぐ、広い壁に突き当たった。
白い壁が、延々と続く場所。
彼女はひんやりとした壁に、そっと白い手を添える。
「ご無理をなさいませんように。。」
背後から、静かに見ていた老人がつぶやいた。
マーシアの白い体は、ゆっくりと壁の中へ吸い込まれていった。
時間切れでね。。。ここまでです。
これからしばらく物語り、続けて更新します。
これはまだ序盤。
早く書かないとおっつかない~(ノ◇≦。)
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