暖かい、水のような、光のような中で目覚めた。
やはり水の中にいるような、目の前にフィルターがかかっているようで、よく見えない。
何かの中にいるようだった。
外で、人影が動くのは見える。
その人影が、近づくように大きくなった。
プシュっと、フィルターが解かれたようだ。
「氣が付きましたね」
白い服を着た男性が、優しく引き起こしてくれた。
白い壁、いくつもの機械からコードがたくさん伸びている。
自分が入っている機械と同じものがたくさん並ぶ場所。
そうか。本体(ひつき)が慌ててヒーリングセンターに送り込んだんだ。
メイシンは、自分の手の感覚を確かめた。
うん。大丈夫。
自分の存在を確かめて、機械から降りようと足を伸ばした。
まだ少しふらつくようだ。白衣の男性の手を借りて立ち上がる。
「無理をしてはいけませんよ」
後ろから声をかけたのはラファエルだった。
「まだ完全ではありませんから」
「わたし。。どうなったの?」
大天使は微笑んだ。
「そうですね。過去を思い出したことの効能とでも言いましょうか」
「。。。ワケ分かんない」
少女は怪訝な顔をした。
ラファエルはくすりと笑う。
「結果だけを言うとね、統合したんですよ」
「なにが?」
「あなたが」
「なにと?」
「あなたと」
は? と、彼女はますます眉をひそめる。
少女の様子を楽しそうに眺めながら、緑の大天使は手のひらに大き目の手鏡を出して見せた。
見てごらん、と少女に手渡す。
鏡と向き合った彼女が見たものは、医療用の白いガウンをまとった、青い瞳の、藍色の髪の少女。
ぽかん。。と、しばらく口を開けて眺めていた。
自分が覗いた鏡の中に、自分ではない者がいる。
恐る恐る、大天使を上目遣いで見やった。
「。。。マーシア。。だよね?」
鏡を指差し、助けを求めるように呟く少女に向かって、大天使は極上の笑みを向けながら、きっぱりと言い切った。
「あなたですよ」
は?
「あなたとマーシアが融合したんです」
へ?
「元々あなた方は、ひとつの存在だったんですよ」
え?
「それが過酷な状況下で分離してしまった」
あ?
「つまりマーシアは、過去であなたが戦士化する度に置き忘れていった、あなたの女性性ですよ」
い?
。。。いや、ちょっと待って。。
へなへなと、床に座り込んでしまった少女を見下ろして、
「まあ、そのうち分かってきますから」
実に楽しそうに、ラファエルは微笑んでいた。
胸を、そっと押さえてみる。
碧い少女の優しい波動が、ハートの中から蘇り、指先まで広がっていく。
彼女は、確かにここにいる。
白衣の医療スタッフが、彼女の為に椅子を用意してくれた。
それに腰掛けながら、もうひとつの疑問が脳裏に浮かび上がる。
「なんとなく分かったけど。。どうして、マーシアの姿に?」
それにも、大天使は明確に答えてくれた。
「あなたの場合、体のほとんどの部分が『作り物』でしたからね。オペし直すより、こっちの方が手っ取り早いでしょ」
どーいう意味ですか、それ。。
少女が不貞腐れたように見えたので、大天使は付け加えた。
「つまりあなたの元の体では、手術の負荷に耐えられなかったんですよ」
少女の魂を完全に癒すためには、過去の施術を逆にたどり、元の体に戻す手術を行わなければならない。
だが彼女の場合、元の体のほとんどを欠損している。メスを入れれば、最悪の場合砕けてしまうかもしれないほど、彼女の肉体は限界に近かった。
ならば、彼女の分身であるマーシアの肉体を主にして、魂を統合させてはどうか。
なにやら、彼女の知らないところで、話は進んでいたらしかった。
ひざの上に載せた鏡を覗き込みながら、メイシンは、鏡の中のマーシアに、ため息をついた。
「。。。。。あぅ。」
え?あれ?なんじゃこりゃ?
って感じでした。(笑)
思い違いかなぁって思ってたけど、上で統合後の姿を目撃した人から証言を得られました(笑)
というわけで、彼女。。彼女たち?生まれ変わりました☆
マーシアもいなくなったわけじゃないんですが、表に直接出てくる感じじゃない。
メイシン6:マーシア4の割合かな。
この頃、ずーっと「女性性」というキーワードが目に付いていて、一斉ヒーリングでも女性性のワークを立て続けに受けてました。
全部お膳立てされてたのか。。(^_^;)
私自身は、この統合の結果、感情のバランスがすごく取れてる感じ。
攻撃的に偏ることもなく、受身に偏ることもなく。。なんか、絶妙って言うの?いい感じです☆
さて。。「彼」の方は事情が少し違うようで、ちょっと長くなりそうです。
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