まだ セーラー服を着ていた頃の 春の幻
通学路の道沿いに 大きな桜の木があった
毎年 美しい薄紅の花を 空一面に咲かせる
その日は とてもよく晴れた日
桜はもう満開を過ぎ 樹の袂には薄花の綿絨毯
澄青には ちらちらと きらめき散らす
うっとりと この時限りの優しい色に見とれていると
白く輝く花びらの基に 桜の絨毯の上に また風が吹く
一筋 白い花弁が花絨毯に触れた時 その子は降りた
桜の下に ふわりと現れる 小さな白幻
長い黒髪に 白いワンピースの童女
花弁が 樹の根に零れ落ちる瞬間
彼女は笑みを湛えながら 花弁と共に ふわりと舞った
白い スカートの裾をひらめかせ 薄紅の きらを舞い上がらせて
きらめき ひとつになるように ふわりと舞って 消えていった
見えたのは ほんの刹那
桜の花びらと共に 現れ消えた その姿があまりにも美しく
儚いというよりも 鮮やかに焼き付く幻影
もう一度
もう一度風が吹いたら またあの子が見えるかもしれないと
しばらくは じっと佇み 目を凝らしながら 風が吹くのを待っていた
十余の春
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結局見えなかったんですけどね。(笑)
確か中学生の頃です。
最初は桜の精かと思ったんですけどね。
今思えば、生まれて初めて目の当たりにした、自分のインナーチャイルドだったんだろう。
と思いますよ。
この女の子を見てから、桜は私にとって特別な意味合いを持つようになりました。
先日お迎えしたサクラ(銀鈴)ちゃんが、その時の女の子のイメージによく似ていたので、当時を思い出しながら写真撮ってみました♪
もっと軽やかに、ふわっと踊ってる絵を撮れたらよかったな~。難易度高いか。(^^;)
以前書いていた「星紡夜話」の序章「桜花」と同じ名前にしたのは、このエピソードがちょっとした伏線だから。。かな。←