カテゴリー
風の小径 星紡夜話会員記事暫時全体公開 星紡夜話・星渉り

【星紡夜話】星渉り15・「秘密の花園」5

何に怯えているのだろう
何を怖がっているのだろう

私は私で居たいだけ
誰かの為にがむしゃらに私でありたいと

ただ 私で在りたいと

私はここに居たい。
ただ、ここに居るだけじゃダメなの?

何かの役に立たなきゃ、居てはいけませんか。

「メリッサ、大丈夫かしら。。」
「ジェレミーじゃないのか?」
サロンのソファで、まったりとくつろぐマーシアとユリウスが言った。
「あなたはいいの?メリッサを放っておいても」
「俺はこうしていられればいい」
隣に座るマーシアの膝に頭を預けて寝そべると、ユリウスは満足げに呟いた。
「相変わらず、ずるい人。。」
膝の上のユリウスの顔を見つめながら、マーシアが独り言のように言う。
少し不安げな瞳を開いて、ユリウスがマーシアの顔に手を伸ばした。
その手を取って、マーシアは見透かしたように優しく微笑む。
「冗談よ」
ずるいと思った事は、数えきれないほどあった。
けれどそれ以上に、一緒に居て感じられた愛情も、数えきれないほどあった。
彼と過ごした過去の出来事、その一つ一つが、彼女の胸に今も迫る。

大好きよ。
大好きよ。愛してる。
今のあなたも、昔のあなたも、ずっと愛してる。

僕は
僕でありたいと思った
けど
僕には何があるのだろう
僕は何を持っているんだろうって考えてみたら

何もなかったんだ

何もないんだ
空っぽで 真っ白で
僕の中には何もない

君を惹きつけるものなんて 僕は何も持ってやしなかった

だから せめて
君の事で頭をいっぱいにして

心の中から ありったけの
君への想いを汲み出して

結晶にする ひっそりと

カスタリアの森の奥まで、ジェレミーはメリッサを密かに呼び出していた。
神殿の近くまで来た、というのは分かるのだが、そこから先はジェレミーに両手で目隠しをされてしまい、メリッサにはそれ以上の事は分からない。
後ろから抱えられるように目隠しされながら、ゆっくり歩いていくうちに、場の雰囲気が変わった事だけは分かった。
なんだか先ほどよりも明るい。メリッサがそう感じていると、ジェレミーはようやく彼女の顔から手を放した。
「目を開けてごらん」
そう言われて、メリッサは明るい光の中で恐る恐る目を開く。
と、琥珀の目に飛び込んできた景色に、彼女は思わず息をのんだ。
「うわぁ。。なにこれ、すごい。。!」
天井から明るく降り注ぐ光の中、彼女を取り巻くように咲き乱れる、薔薇の壁。
先が見えなくなるほど高い空まで伸びる蔓薔薇。その枝の至る所に、大輪の可憐な花が開く。光に透けるほど儚く見える、淡い桃色の花弁が、至る所できらきらと光を反射していた。
はらはらと、ガラスの様な花弁が幾重も風に揺れて落ち、青い芝生の上を桃色に染めている。
鬱蒼とした森の中にいたはずが、いつの間にか薔薇の咲き乱れる明るい空間の中に立ちつくすメリッサの顔から、驚嘆と感動の表情が消えない。彼女は輝く薔薇の壁を見上げたまま口を開いた。
「。。なにここ??いつものバラ園じゃないよね??」
「秘密の花園」
メリッサの後ろで、ジェレミーはにっこりと笑顔のまま答えた。
「こういうの好きなんだ、僕」
「ふわぁ。。かぁいい。。。乙女心くすぐられるぅぅ。。」
「よだれ垂れてるよ」
薔薇を見上げたまま、少女漫画の主人公のように瞳をキラキラさせているメリッサの顔を見て、ジェレミーが笑いを堪えながらさりげなく言う。
が、メリッサはそんな彼の突っ込みには気付きもせず、頬を上気させながら、すぐ傍の大輪の薔薇に手を伸ばしていた。
「お花が。。薔薇園のバラとは全然違う。。すっごい綺麗。。ふんわりしてて。。キラキラしてて。。こんな薔薇あるの~っ?」
「造ったんだ」
あたりまえのように答えたジェレミーの顔を、メリッサは目を丸くしながら振り向いた。
「。。。あんたが??」
「うん」
「。。。マジ。。?」
「うん。ここでしか見られない新種」
「。。うそぉ。。」
信じられないものを見るように、彼女はもう一度、まじまじと美しい薔薇を見つめた。
マーシアが世話をしている薔薇園とは、雰囲気がまるで違う。高貴で愛らしく咲き誇る花々に囲まれ、透き通る花から漂う香気で場の波動すら軽く感じられ、まるで天界の花園にいるかのような錯覚さえ覚えた。
「なんか。。不思議の国に迷い込んだみたいだぁ。。」
「ここはカスタリアのいつもの場所とは、ちょっと次元が違うんだ」
「なあにそれ?」
ジェレミーが、両手で小さな輪を作り、メリッサに見せながら言う。
「カスタリアの「内側の空間」に、ぽこっと穴をあけて「洞窟」を作ってるんだよ。ここはカスタリアの他の場所からは見えないようになってる」
「なるほど~内側かぁ~。。随分入り組んだ作りになってんだ。。」
「秘密にしておきたかったから。驚かそうと思ってね」
「誰を?」
ジェレミーの表情が、一瞬だけ曇ったように見えた。
「。。。僕の、一番大事な人」
答えながら、アクアマリンの瞳が切ない表情になるのを見上げて、メリッサは彼の「想い人」に心を馳せる。
「。。そっか。マーシアはこういうの好きだもんね」
「。。気に入らなかった?」
「なんで?」
「僕はこんな風にしかできないから。。気に入ってくれると嬉しいんだけど」
ためらうように答えるジェレミーを、きょとんと見上げながら、メリッサはあっけらかんと答える。
「えぇ?すっごい綺麗だよ!あたしでもメロメロになっちゃうもん。あの子に見せたらイチコロじゃーん!」
ジェレミーは、そんなメリッサの様子を見て苦笑した。
「。。。そっか。。「お菓子の家」の方が良かったかなぁ。。」
「は?」
何で急にお菓子の家なのよ。と、メリッサはいぶかしげな声をあげる。
「ここにお菓子の家を作ったら、喜んでくれる?」
「そりゃ勿論!。。って。。。。えぇ??」
目をぱちぱちさせながら、口をあんぐりと開けて、メリッサはジェレミーを見上げた。
「君に見せたかったんだよ。メリッサ」
少し切ない笑顔を向けて、彼は少女の琥珀の瞳をじっと見つめた。
「。。マーシアじゃないの?」
「最初は、そのつもりだった」
ジェレミーは、眩しげに薔薇の蔦を見上げる。
「けど、彼女はもう、ここには呼んでも来てくれないだろうから。。」
遠くを見ていた淡い瞳を、傍に佇む少女に移して、彼は優しく笑った。
「ここで毎日、デートしてくれる?」
「。。。うん。。。」
「この場所は、二人だけの秘密だよ」
「。。うん。。。」
ジェレミーが見下ろす琥珀の瞳から、大粒の涙が溢れては落ちていた。

ここに居ていいんだ。
あたしはここに居ていいんだ。。。ジェレミー。。

背の高い青年を見上げたまま、ボロボロと涙を流す少女の肩を抱きしめて、ジェレミーが囁く。
「お菓子の家も、ちゃんと作るから。。」
「。。。うん。。」
透き通る花弁の降り注ぐ中、
優しい腕と声に包まれながら、メリッサはジェレミーの背中を掴んで、彼のぬくもりを噛みしめるように泣き続けていた。


おっしゃエンジンかかった。←
そろそろホントにやりたい事を軌道に乗せる為にも、ちょっとこの話終わるまで、身体に鞭打ってがんばりますよもう。

というわけでジェレミーくんの話の続き。
ジェレミーくんの「秘密の花園」、ようやっと解禁しましたー。(笑)

いやもう。下の私がびっくりしたのですよ。
カスタリアにこんな場所があるなんて知らんかったし。
あの。。今まで見た事もない、すっごい綺麗なバラの花の絵が降りてきた時にね、

ジェレミーっアンタどんだけぇぇぇぇ。←

と、一人のた打ち回っておりました。(笑)

まぁとりあえず、このまま続き書きます。

完結するまで寝ないから今日は。←マジか

コメントを残す