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【星紡夜話】星渉り12・「秘密の花園」2

怖いんだ
ずっと怖かった

与える事を止めてしまえば、誰もいなくなるような気がして
無作為に何もかもを、僕は明け渡していた

愛なんかじゃない
愛なんかじゃないよ

僕は優しくなんかないよ
本当はね、ずっと誰かが欲しかった

愛してくれる誰かが、ずっと欲しくてたまらなかった

だからお願い、「行かないで」

輪廻。
ジェレミーはきっと、こんな事をずっと繰り返してきた。
誰かの為に、自分の全てを投げ出す人生。自分の全てを捧げる人生。
それが彼の生きる術だった。

ユリウスに、己の浅はかさを指摘されたような気分で、ジェレミーは独り、カスタリアの神殿へと向かった。
おぼつかない足元。
気力が落ちているせいか、フラフラする身体をなんとか動かして祭壇へ辿り着くと、そこにはすでに先客がいた。

「。。。マーシア」
小さく呼ばれて、淡い金髪の彼女は振り向いた。
まるで、ジェレミーが来るのを待っていたかのように、水色のワンピースの彼女は、静かに祭壇の前に佇んでいる。
「。。君は大丈夫?」
自分の不調が彼女に影響していないか、ジェレミーは気になって、マーシアに尋ねた。
彼女は、静かに頷いた。
だが、その青い瞳は愁いを帯びている。
祭壇の前で、二人はどちらからともなく、手を取り合った。
見つめあううちに、今にも溢れそうになっていた思いのたけが、マーシアの唇からこぼれ落ちた。
「。。辛かった」
「うん。。。辛かったね」
ジェレミーが、彼女と同じ思いを、共に口に出す。
「怖かった。。」
「うん。。。怖かったね。。怖くて。。ずっと震えていた」
「悲しかった。。」
「うん。。。ずっと泣いていた。。」
「逃げたかった。。」
「うん。。」
「。。。死にたかった」
ジェレミーの瞳が、僅かに大きく開いた。アクアマリンの揺れる海から、静かに涙がこぼれ落ちる。
「。。。。。ああ。。。そうだね。。。」

せめて。。。無理矢理でも、ほんの僅かの間でも、快感を感じているあの瞬間に、殺してほしかった。。。

顔をくしゃくしゃにして、大粒の涙をこぼしながら、ジェレミーはマーシアを掻き抱いた。
雪辱の過去を思い出しては、溢れて止まらない当時の想いを、涙で洗い流すかのように、二人は泣き続ける。
いや、むしろ、マーシアの感情を代弁するかのように、ジェレミーは胸を痛め、目をはらして泣き続けていた。

彼のすすり泣く声だけが、神殿にこだまする。

「。。それでも。。あいつがいいんだ。。?」
マーシアを胸に抱いたまま、ジェレミーは涙声でやっと呟いた。
「僕じゃダメなのか。。?僕は魅力ない?」
ジェレミーの瞳には、ユリウスの冷めた横顔が映っていた。
否、いつもユリウスの陰に潜む、黒い影を、密かに憎々しげに見つめていた。

辛い事だと解っていながら、
どうして君は、他の男の所へ行っちゃうの。
僕じゃダメなの?

「行かないでよ。。行かないで。。。マーシア。。」
ジェレミーの涙声が、もう一度神殿にこだまする。
彼の腕に強く強く抱きしめられながら、
それでも、マーシアの表情は虚ろだった。


あー。
これ書いてて、何となく解ったわ。
「輪廻」って、こういう事を言うんだな、って。

や、すいません、久しぶりの続きです。
もう何の話か忘れちゃってるね?←
とりあえずこれ終わらせないと、シドくんの話まで辿り着かないんで、
サクサク~と行くぜ私。

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