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【星紡夜話】みなもの光8・再逢いの人

「……なんで今日はあんたなの?」
メイシンは、目の前に座る優しげな青年の、アクアマリンの瞳を覗き込んで言った。
少女の怪訝な顔に尻込みしつつも、ジェレミーは答える。
「用事があるらしくて……」
ふーん。と、少女は鼻で返事をする。

同時存在するのに、「人格」まで分けることないじゃない。

自分のことは棚のうえに上げて、少女は不貞腐れていた。
理由も話さず、置いてけぼりにされている感じが気に入らない。

不機嫌そうな少女を見て、ジェレミーはにっこりと微笑んだ。
「今日は特別に、ひとつ憶えたらその都度デザートが出るよ」
「……なにそれ」
少女は思わず吹き出してしまった。
子供騙しな言い回しだが、アクアマリンの青年にかかると、何故かやんわりと言いくるめられてしまう。
少女が笑ったのを見て、青年も嬉しそうに笑った。
「じゃあ、今日は攻撃魔法から始めようか」

白い廃墟に、明るい陽光が差し込む。
淡く舞い踊る粉塵の影を、パライバトルマリンの瞳が虚ろに見つめていた。
先日、少女が見つけた「神殿」の前に、ジェイは一人佇んでいる。

彼女がこれを見つけたのは、きっと必然だったのだろう。

過去の切ない記憶と共に、再び向き合うこととなった廃墟。
青年は、一度深く目を閉じ、そして強い意志と共に、碧の瞳を開いた。

(マーシアの様子はどうですか)
彼が心話を繋いだ相手は、穏やかに答えた。
(カルマをひとつ解消しましたよ。今ならメイシンと再統合しても大丈夫でしょう)
青年は、伏し目がちに緑の大天使の言葉を聞いていた。

今の彼女なら、ここに来てくれるだろうか。

(彼女をこちらへよこしてもらえますか)
ふっと、大天使は笑ったようだった。
(ちょうど彼女も行きたがっていたところですよ)

言い終えると、大天使の方から心話が途切れた。

間を置かず、目の前の空間が歪み、白いドレスの女性が現れる。
透けるような白い肌の上に、波打つ青い髪が、腰まで伸びている。
優しげなスイスブルートパーズの瞳が、青年の碧の瞳を見上げた。
その姿は以前より、少し大人びた印象を受ける。

柔らかく波打つ青い髪が、風に揺れてきらめく。青年は思わず、しばし見とれ言葉が出なかった。

「……変わったね」

やっと出てきた言葉に、マーシアははにかんだ。
氣を取り直すように、青年は白い廃墟を見上げる。
「ここを、再び機能させたい」
マーシアは、振り返って「神殿」を見上げた。
彼女も離れた場所から、メイシンを通してこの場所を感知していた。

メイシンが、この神殿に懐かしさを感じているのを知って、彼女は内心驚いていた。
彼女は直接知らないはずの場所だったからだ。

やはり宿命付けられた、同じ魂。

「出来るか?」
青年が、念を押すように彼女を見つめる。
「……多分。あなたと一緒なら」
少し不安げに、彼女は答えた。

昔のように再び、ここで会うことになるなど、誰が想像していただろう。
もう二度と、ここに来ることはないと思っていた。
ここで負った過去の傷は悲しく、彼女の胸に夜の帳を下ろし続けていたから。

青年は、うつむく彼女に手を差し伸べた。

「俺が支える」

差し出された青年の手のひらを見つめ、マーシアは瞳を潤ませた。

……わたしがあなたを、支えきれなかったのに。

マーシアは、それでも微かに頷いた。
青年の大きな手のひらに、そっと白い指を重ねる。
その細い指を、青年の手は固く握り締めた。

白い手を引いて、青年は神殿の奥へと歩き始める。
崩れた天井から、光の帯がいくつも伸びる廃墟の中を、二人は静かに進んだ。

ここが崩れてしまった理由。

二人の胸に、美しかった頃の神殿の記憶が、再び浮上し始めていた。


なんか複雑に絡み合ってるんだ。。。彼らの過去って。orz
このパズルピースをどうやって繋げていけば~。。と、頭を抱えながら、お話の構成を考えているのでありますよ。
マーシア、メイシン、佐守とジェレミー、それぞれが、一回きりじゃなくて、入れ替わり立ち代り、どっかの過去生で一緒だったみたいでね~。。。orz
で、今回のは、マーシアと佐守くんです。。。佐守くんが会ってたのは、メイシンだけじゃなかったんだ~。。。

私がびっくりだよっ!!orz

神殿が崩れちゃった理由?
。。。アレでいいのかな。。。いいんだよね。。。(ドキドキ)
ちゃんと教えてくれよ~お二人さ~ん。。(笑)

次回。間違いなく二人の過去。( ̄▽ ̄;)

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