また鬱陶しいのが来た。
一人になると、いつもそうなる。
誰も通らないような暗い通路に追い詰められて、腹の底にもやもやと溜まった物を吐き出す。
ここの男どもは、あたしを女だと思ってるのか。
三人でたむろして、少女一人を追い詰めるなど、雑魚のやることだろう。
ためらいもなく、一人目の男の左目を、長剣で貫いた。
奴の面から、汚い血が滴る。
仕方ないか。あたし以外に女らしい奴が見当たらない。
頭蓋骨を貫通してしまったので、男の体重だけでは抜ききれず、仰向きに倒れた男の顔を踏みつけて、長剣を引き抜く。
全く容赦のない少女の仕草に一瞬怯み、それでも二人目の男は腕に自慢の剣を携えて飛び掛る。
小柄な少女の漆黒の髪を少しだけ掠めて、それはかわされた。
下から跳ね上がった少女の剣に、男の手首が剣ごと飛んでいく。
甘いんだよ。この下衆。
手首から先を失い、一瞬ひざまづいた男の首を刎ねた。
鈍い音を立てて、醜い顔が床に跳ねる。
首を失い、筋肉質の巨体が倒れこんだ。
可愛けりゃ、男でもいいんだろ?
最後に少しだけ、笑ってやった。
三人目、どうする?
笑ったまま顔を向けると、そいつも少し引きつった笑みを浮かべていた。
それでも諦めるつもりはないらしい。
剣を握り締め、踏み込もうとした瞬間に、男の身体は横に吹っ飛んだ。
横顔に拳を食らった男が、鼻血を出しながら振り向く。
立ち上がった瞬間、またみぞおちに蹴りを食らって壁に打ち付けられた。
「これ以上殺すな。始末が悪い」
横から割って入った、ダークブラウンの髪の男が静かに言った。
終わったか。案外早かった。
血に濡れた長剣を一振りする。
壁や床に、血しぶきが細かく飛んだ。
鞘に収めると、さっさとその場を立ち去った。
殴られた三番目の男が、呻きながら立ち上がろうとする気配を感じる。
「お前は寝てろ」
男の声と共に、頭蓋骨が固いものに打ち付けられる音を、背中で聞いた。
すぐに、靴音が早足で追いついてくる。
「お前のおかげで何枚始末書かいてると思ってる。少しは手加減しろ」
そんな面倒臭いことできるか。
口には出さなかった。
だがこの男は、何故か自分の言うことを見透かしてるように感じる。
「これ以上こんなことが続いたら、始末書じゃすまなくなるぞ」
だったら、ダッチワイフの一体でも買ってやれ。
胸の奥で吐き捨ててから、私室のドアで奴の顔を遮った。
「おい」
ドアの向こうで、まだ何か言っている。
ああ、鬱陶しい。
「作戦会議だ。10分遅刻してる。出て来い」
探してたのなら、早く言え。
深く息を吐き出して、部屋を出る前に鏡に目をやった。
暗闇に光る琥珀の目。
これが自分の色だったろうか。
時々分からなくなる。
急かすようなノックの音に、また鬱陶しさが蘇る。
ドアを開けると、光の中に奴が立っていた。
……眩しいやつ。
顔をしかめて部屋から出ると、もう一度奴の前を歩き出した。
奴はいつでも、黙って後ろをついてくる。
鬱陶しいが、不快ではなかった。
少なくとも、さっきの雑魚に比べれば。
。。。とか、続いてたんですが、キリがいいからこの辺でやめときます。(笑)
すみません。いきなり番外編。前回の「みなもの光6話」を書いたら、なんかふっと浮かんできちゃって、書いてみようかなと。
メイシンの過去の思ひ出話です。久しぶり。相変わらずエグイ女です。(笑)
いきなり首とか飛んじゃってすみません。。。orz
佐守くんは。。。リーダーのくせに直で探しに来るのかい?ってツッコミ入れたくなりましたが。(笑)
多分、佐守以外の男が行ったら、スパッと斬られちゃうからでしょう。。。orz
自分で書いてて脱力。。。( ̄▽ ̄;)
タイトル考えるとき、へんな熟語作っちゃうんです私。
「無約」。。約束しなくても、奴は来る。
って。やっぱアホですか私。orz
さて、やっと書けるかな~
次回! メイとジェイ、カスタリアの森でピクニック♪
コメントを投稿するにはログインが必要です。