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風の小径 星紡夜話会員記事暫時全体公開 星紡夜話・みなもの光

【星紡夜話】みなもの光1・故郷(ふるさと)へ

私があなたの魂を生み出したのは
あなたがそれを望んだから

   そして私が あなたを望んだから

   神の創造を体感することの喜び
その喜びを与えたくれたのはあなた

   癒し与える者よ
どうか 自分の核だけは与えないでおくれ

   あなたがいなくなる事が どれほど虚しいことか
どれほど胸痛く張り裂けることか

   どうか自分を大事にしておくれ

   あなたが幸せでいることが癒しであり
あなたが感じる喜びが癒しになる

   どうか どうかこれ以上
魂を削ることはやめておくれ

   愛しい娘 私の愛し子

   辛くなったらいつでもおいで
私は永遠に あなたを癒し続けよう

おかしい。

自分の中で起こる感情の波に、少女は違和感を覚えていた。
ジェイと繋がるたびに、何かしら拒絶反応が起こる。
先だって、ジェイとツイン契約をしたばかりで、自分は何も不満なところはない。
なのに、感情の揺れは激しくなるばかりだった。
それが「メイシン」でなく、「マーシア」に起因していることに気付いて、彼女はある決断をした。

「もう一度、分かれようと思うの」
少女の言葉を聞いた金茶色の青年は、一度でその意味を飲み込めなかった。
「落ち込んでるのって、マーシアだと思うんだ。だから、もう一度、二人に分かれてみる」
やっと事情を飲み込めて、青年はため息をついた。

受け入れてもらえない事に対するジレンマは、既に彼の中にもあった。
彼女たちが統合してからずっと、マーシアが「影」に徹していることも、ずっと彼の心の中で引っかかっていた。
自分が何とかしてやりたい。
それが叶わなかったのは、彼にはとても心重いことだったが、青年は、少女の「決断」を受け入れることにした。

なにより、彼女を安定させるために神経をすり減らし、彼も疲弊していたのだ。

「同時存在って、やったことないんだけど、……出来るかなぁ」
分かれると言ってみたものの、今までひとつのものを二つに分けたことなどない少女は、自信無げに呟いた。
「とにかく、やってみれば?」
そっけなく呟く青年の顔をジロリと見やってから、少女はスイスブルーの瞳を閉じて、集中し始めた。

「……あ。出来た」
ぱっと目を開き、少女は思わずそう言った。
「あはは! 出来ちゃったみたいだよ!」
笑う少女の顔をいぶかしげに見ながら、青年は尋ねた。
「もう一人はどこにいるんだ?」
「泉にいるみたいだよ」
そうか。と、また青年はため息をついた。

やはりあそこへ、帰りたかったのか。

「あ~! なんか元気出てきた!」
片腕をぶんぶんと振り回し、マーシアがいなくなった身体を実感するように、メイシンは叫んだ。

元気そうな彼女を見るのは、久しぶりだ。
それだけで、何故か笑みがこぼれた。決して「彼女」を否定しているわけではない。
だが、彼女の笑顔を見られたことで、青年も元気を分けてもらった気分だった。

「ねえ、ちょっと付き合ってよ!」
ソファに座り込んでいた青年の腕を取り、メイシンは勢いよく玄関へ駆け出した。

森の奥深く、鏡のように静まり返った泉に、青い瞳の少女が映る。

……どうして受け入れられないのだろう。
彼のことが、大好きなのに。

虚ろな瞳が、水面で涙に暮れる。
涙の雫が泉に波紋を広げ、少女の顔をかき消していくのを見るうちに、湖面に浮かぶ影が、二つに増えていたのに気付いた。

振り向くと、隣にあるのは、穏やかなエメラルドの瞳。

少女は思わず、その胸に抱きついた。
彼女を受け止めた緑の大天使は、藍色の髪を抱く腕に力を込めて、そっと呟く。
「おかえり、マーシア」

おかえり。
やっと気付いてくれたのだね。

ずっと待っていた。あなたが帰ってくるのを。

大天使の胸から伝わる温かい波動を感じて、少女はまた涙を零した。

ここに帰ってくれば、必ず会えると思っていた。
今、自分が帰れる場所は、ここしかない。

ラファエルの胸にしがみつきながら、マーシアは涙混じりに呟いた。

「…………お父さま……」


ていうか、私が限界だったんです。orz
もーいい加減、不安定になるから、一度切り離しちゃって。ってお願いして、分かれてもらいました。
いや、彼もかなり疲弊してたしな。マジで。(笑)
マーシア単身で、これからトラウマ解消していってもらいます。

てなわけで、メイシンが中心だった「カスタリアのほとり」から、タイトル変更です。
あんまりいい名前が浮かばなくてねぇ。。。orz
気に入ったのがあったら、突然変更するかもですが。ご了承くださいね~。

えっと。
ラファ先生父親説ってのは、ジェイとメイの「結婚式」の時に発覚しましてね。
「自我崩壊」したときに、洗いざらいしゃべってくれましたよあの人。。。orz
それがあの、冒頭の詩の部分です。あれ、ラファ先生の独白ですから。

まったく。。。。

ほんっとにそんな大事なこと、今までよく黙っててくれたなぁぁぁぁっ!!

みたいな。orz

さ、次はどっちの彼女書こうかな~?(笑)

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