カテゴリー
風の小径 星紡夜話会員記事暫時全体公開 星紡夜話・カスタリアのほとり

【星紡夜話】カスタリアのほとり32・受けられぬ心

「なんて呼んだらいい?」
困ったような少女の声に、彼は顔を上げた。
「なにを?」
「だから、呼び方に困ってるの」
彼の姿が変わってから、メイシンは少し困惑していた。
佐守でもなく、ジェレミーでもないと感じる彼を、どう呼べばいいのか。
「どっちでもいいよ」
と、彼はそっけなく言う。
「それじゃ困るよ…」
彼女は途方にくれた。
「俺だって、お前のことは好きに呼んでる」
確かに、メイシンとマーシアが統合して一人になった後も、彼は変わらず、彼女のことを「メイ」と呼んでいた。

…そう言われてみると、確かにどちらでもいいと思えてくる。

彼女は少し考えてから、彼に向き直った。
「じゃあ、ジェイでいい?」
「いいよ」
即答して、彼は笑った。その呼び名も、以前から変わらない。
「確か、佐守のファーストネームも”J”から始まるんじゃなかった?」
「どうだったかな」
自分の名前、覚えてないの? と言おうとして、彼女は自分自身の名前も良く覚えていないことに気付いた。

彼女の記憶では、彼のファーストネームはジュリアス。

でも、それは過去の名前だから。辛い過去の記憶を引きずる名より、自分が決めた「ジェイ」という呼び名の方がいい。

それから、彼女は彼のことを、ずっと「ジェイ」と呼び続けた。

何事もなく過ごしていた日々の平穏を崩したのは、ほんの些細な出来事だった。
彼女の氣が、ほんの少し他のものに逸れた。それがきっかけで、彼女の心の、開いていない部分に、ジェイは氣が付いた。

何故心を開かない?

苛立ちが、彼を思わずこう言わせてしまった。
「俺のこと、受け入れてないだろう」
いつもの落ち着いた姿からは想像も出来ないほど、彼が苛立っていることに少女は驚いた。
彼のことは受け入れている。だから一緒に暮らしている。メイシンはそう思っていた。
「受け入れてるよ」
「受け入れてない!」
思わず声を荒げてしまってから、彼は後悔した。
彼を見上げるスイスブルーの瞳が、悲しげに歪んでいる。

受け入れているつもりなのに。
だが確かに、心の底に閉じている扉があることに、彼女はこの時気付いたのだ。
だから、何も言えなかった。

ただ、こみ上げる涙を、必死に抑えるしかなかった。
こらえきれなくなった涙を、手で覆い隠したとき、長い腕が彼女を包んで、彼の胸に押し付けた。
「ごめん…悲しませるつもりじゃなかったんだ」
耳元で、彼の辛そうな声が聞こえる。
彼の謝る言葉を聞いて、彼女は涙をこぼしながらしゃくり上げた。

何故、心を開けないのだろう。
何故、彼を悲しませているのだろう。
何故、わたしは泣いているのだろう。

彼女の胸の深いところで、もう一人の彼女もまた、静かな悲しみに揺らいでいた。


何でこうなっちゃったかの事情が詳しくかけない。。のは、あんまり個人的すぎて。。。人様に迷惑がかかるから。orz
要するにね、嫉妬なんですよ。(笑)
それが原因で、メイの心の穴を見つけちゃったわけ。
でもそれ、メイのせいじゃなくて。。。orz

彼の名前ね、私がまだ彼のことを創作の人物だと思ってたころ、つけた名前が、「ジュリアス・N・佐守」。
Nには日本語の名前が入ります。内緒にしとこ。(笑)
佐守と言う名前が一番最初に浮かんで、印象深かったんで、じゃ、頭に横文字の名前を~と思いついたのが。。何故か、「ジュリアス・シーザー」だったわけ。
なんでだろうね。。。
今調べて分かったんだけど、この人、政治権力を得るために神官になった人なんだね。。。なるほどねぇ。(笑)
他にもなんか、思い当たる節がいっぱいあるのは何故だろう。。。。orz
ジェイくん。。。まさか、カエサルの分霊持ってる??(いや、そう思っただけ)

メイシンも元々は漢字名の「美星」だったわけで、これは音の響きと漢字の意味が良かったから、かな。美しい星、で思いつくのがルシフェルの「明けの明星」。
やっぱり、戦いを宿命付けられた人には、そういう名前がつくのかねぇ。。。なんて、思っちゃいました。

さて。メイが落ち込んだおかげで、下の私も結構ヘビーでしたよ。(笑)ってな続きは次回。。

コメントを残す