カテゴリー
風の小径 星紡夜話会員記事暫時全体公開 星紡夜話・カスタリアのほとり

【星紡夜話】カスタリアのほとり24・《佐守》崩壊

(お前が壊れていくところは見せたくない)
メイシンの胸の中で、ピーコックグリーンの石は、不安気にそうに呟いた。

大丈夫だよ。
もう、あなたが癒してくれた。

彼女は胸の上から、「彼」を抱きしめ続ける。


。。。彼女は、口元を歪ませるようになった。
目の鋭さは以前にも増して強くなったから、
その異様な笑みは背筋を凍らせた。

彼女の中で何が起こっているのだ。

彼女の変化を、データから読み取ろうとした。
だが、予想とは裏腹に、
データの数値は以前とは桁違いに跳ね上がっている。
戦場での戦い方にも変化があった。

絶命寸前の相手を、息の根を止めることなくいたぶり続け、
苦しみあえぐ姿を見ては、口元を歪ませ笑う。

違う。 俺が求めていたものは。
俺が求めていたものは。

俺は彼女に、何を求めていたのだ。

彼女が狂ったように笑う回数が増えるほど、
データの数値は跳ね上がる。
当然のごとく、戦いの後、傷ついた彼女は医務室へ運ばれ、
処置が終わるとまた、冷静さを取り戻して帰ってくる。

だから気付かなかった。
あのデータ以上のものが、全てあの”医者”に流れていたことに。

医者に説明を求めると、奴はサラリと言ってのけた。
「彼女の能力が、毎回リミッターを越える。だから毎回付け直す」
奴は更に付け加えた。
「彼女の能力はとても素敵だ。
今のまま押さえておくには惜しいくらいに」
その余計な一言が、何故か癇に障った。

僅かな表情の変化を読み取ったのか、
奴は冷めた顔に薄ら笑いを浮かべた。
「あなたも喜んでいるじゃないか。
彼女をもっと強くしたいだろう?
もっと強い彼女を見たいだろう?」

そこまで聞いて、ふと、脳裏に疑問が浮かんだ。
「本当にリミッターを付けているのか?」

”医者”は、今までの凍った表情からは想像もつかないほど、
口元を引き上げ、目を見開いて笑い出した。
「あれはリミッターじゃない。”監視装置”だよ」

。。。。なんだと?

奴はさも可笑しそうに顔を歪ませながら続けた。
「私に逐一データを送ってくれる、便利なものだ。
おかげでとても楽しませてもらっている」

コイツは。。。
彼女の行動を、戦いの全てを、ひとつも漏らさず見ていたというのか。
医療部には戦いごとに戦士のデータを上げる義務がある。
だが。

腹の底から煮えくり返るような、衝動に襲われた。

自然と、腕が奴の首に伸びた。

 お前も十分楽しんだろう?
アレの人を裂く快楽に酔いしれたろう?
俺たちは同罪だよ。
お前はもう逃げられない。

締め上げているのに、奴の声が頭の中でこだまする。
俺の手の中で、苦痛に歪みながら不気味に笑う、コイツは何だ。

コイツは、人の形をした何なのだ。

我に返ったときにはもう、奴の体はぐったりとして動かなくなっていた。

俺は何をしていた。
俺は彼女に、何をしてきたのだ。


ちょっとエグかったですかね?(T‐T)
この医者と佐守とのやり取りは、ホントはもっと緊迫した怒鳴りあいとかあったんですけど、
例によって、バタバタと忙しいときに早回しで見せられてしまって。
いざメモを取ろうというときには、台詞のほとんどがスコーンと欠落。。。orz
だーかーらーっ 氣使わないでいいってば!!
大丈夫だってば!

。。。とかいいつつ。昨日の記事書いたあと、胃がキリキリと痛み出して。。。
「無差別殺戮」に反応したようです。ちょっとやばかったっす。orz

佐守くん、優しいよね。冒頭のメイシンとのやり取りも、過去のリロードの合間に実際入ってきたメッセージです。傷つけたくない+嫌われたくないってのも、あるんだろうけど。。

さー、これから彼、彼女一筋になります。(笑)

コメントを残す