カテゴリー
風の小径 星紡夜話会員記事暫時全体公開 星紡夜話・カスタリアのほとり

【星紡夜話】カスタリアのほとり18・《美星》散華

戦局は、最終局面を迎えていた。
彼女は、最後の戦いに赴いた。
全て終わりにしたかった。
この戦争も、自分の人生も。

敵方の惑星の周りに漂う、基地のひとつ。
彼女はそこに、思いつく限りの敵を引き付けた。
たった一人で、何十万という敵と渡り合う。
勝敗は見えていた。リミッターもすでに外れかかっていた。
不意に脇腹を貫かれ、背中を壁に打ちつけ、座り込むように崩れ落ちた。
彼女は、吐血した。
いつものことだ。だが、妙に可笑しかった。
眼下に滴る鮮血を見ながら、彼女は笑った。

造り物のクセに、生血吐いてらぁ。。。

血を吐きながら笑う少女の姿に、取り囲む敵は一瞬たじろいだ。

何してる、もっと近づけ。斬ってみろ。

リミッターを解除するのは、容易かった。あの件以来、リミッターは強化されていたが、所詮機械仕掛けだ。
彼女には何でもなかった。
全ての敵をひきつけて、心臓のリミッターを解除する。
彼女の生命エネルギーの全てを、攻撃として使う、最終手段だった。

彼女は、右手でポケットをまさぐり、あの指輪を掴んだ。
彼女をぎりぎりの所で光に留めた続けた、唯一のもの。
掴んだ右手を、心臓から遠のけるように、出来る限り伸ばした。
大剣を振りかぶる敵をニヤリと睨み付け、彼女は心臓に命じた。

彼女がいた基地は、跡形も無く吹き飛んだ。

数日後、奇跡的に見つかった彼女の小さなかけらが、佐守のもとに届けられた。
右手のかけら。
それは原型を留めず、小さな光のかけらとなって、透明なケースの中に浮かんでいた。
その小さな光の中に、更に小さく瞬く光があった。
そっと、彼がその光に触れると、それは一瞬で小さく砕けた。
だが、彼にはそれが何なのか分かった。

指輪のかけら。

彼はまた、この時に自分を闇へ放り込んだかもしれない。
そしてまた、この指輪のおかげで、救われたかも知れない。

それは彼女の、唯一の愛情表現だった。

その後、佐守は上層部を一掃し、自分が指導者となり戦争を終わらせる。

彼女の小さなかけらは、培養ポッドに入れられ、
長い時を経て、人の姿に回復する。

そして彼は、彼女を娘として愛し続けるが、
それはまた、違う時代の、別の話かもしれない。


終わりましたぁ~! お疲れ様~!
ホントにお疲れ様だよもう。。orz

こんな血塗られた話を、20年も温め続けてた私って。。。orz
もう大まかは話の筋はね、20年前と変わりません。
ただ、細かいところが、ぽかーんと抜けてて、埋められなかった。
それがこの数ヶ月で、すぽっと埋まっちゃったんだよな~。。
メイの両親が死んだ理由とか。彼女がどうして戦う羽目になったのか。
それが今になってポーンと来たので、書くことが出来ました。

は~。。。

次回からは、現代?に戻ります☆
メイシンとジェレミー、どうなっちゃったかな?(笑)

コメントを残す