戦局は、最終局面を迎えていた。
彼女は、最後の戦いに赴いた。
全て終わりにしたかった。
この戦争も、自分の人生も。
敵方の惑星の周りに漂う、基地のひとつ。
彼女はそこに、思いつく限りの敵を引き付けた。
たった一人で、何十万という敵と渡り合う。
勝敗は見えていた。リミッターもすでに外れかかっていた。
不意に脇腹を貫かれ、背中を壁に打ちつけ、座り込むように崩れ落ちた。
彼女は、吐血した。
いつものことだ。だが、妙に可笑しかった。
眼下に滴る鮮血を見ながら、彼女は笑った。
造り物のクセに、生血吐いてらぁ。。。
血を吐きながら笑う少女の姿に、取り囲む敵は一瞬たじろいだ。
何してる、もっと近づけ。斬ってみろ。
リミッターを解除するのは、容易かった。あの件以来、リミッターは強化されていたが、所詮機械仕掛けだ。
彼女には何でもなかった。
全ての敵をひきつけて、心臓のリミッターを解除する。
彼女の生命エネルギーの全てを、攻撃として使う、最終手段だった。
彼女は、右手でポケットをまさぐり、あの指輪を掴んだ。
彼女をぎりぎりの所で光に留めた続けた、唯一のもの。
掴んだ右手を、心臓から遠のけるように、出来る限り伸ばした。
大剣を振りかぶる敵をニヤリと睨み付け、彼女は心臓に命じた。
彼女がいた基地は、跡形も無く吹き飛んだ。
数日後、奇跡的に見つかった彼女の小さなかけらが、佐守のもとに届けられた。
右手のかけら。
それは原型を留めず、小さな光のかけらとなって、透明なケースの中に浮かんでいた。
その小さな光の中に、更に小さく瞬く光があった。
そっと、彼がその光に触れると、それは一瞬で小さく砕けた。
だが、彼にはそれが何なのか分かった。
指輪のかけら。
彼はまた、この時に自分を闇へ放り込んだかもしれない。
そしてまた、この指輪のおかげで、救われたかも知れない。
それは彼女の、唯一の愛情表現だった。
その後、佐守は上層部を一掃し、自分が指導者となり戦争を終わらせる。
彼女の小さなかけらは、培養ポッドに入れられ、
長い時を経て、人の姿に回復する。
そして彼は、彼女を娘として愛し続けるが、
それはまた、違う時代の、別の話かもしれない。
終わりましたぁ~! お疲れ様~!
ホントにお疲れ様だよもう。。orz
こんな血塗られた話を、20年も温め続けてた私って。。。orz
もう大まかは話の筋はね、20年前と変わりません。
ただ、細かいところが、ぽかーんと抜けてて、埋められなかった。
それがこの数ヶ月で、すぽっと埋まっちゃったんだよな~。。
メイの両親が死んだ理由とか。彼女がどうして戦う羽目になったのか。
それが今になってポーンと来たので、書くことが出来ました。
は~。。。
次回からは、現代?に戻ります☆
メイシンとジェレミー、どうなっちゃったかな?(笑)