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【星紡夜話】カスタリアのほとり12・回魂

メイ、俺たちはもう、夢を叶えてる。

   俺はもう二度と、お前の意思をないがしろにはしない。

   お前の望みが、俺の全てだ。

   お前を守る者でありたかった。

   持てる能力の全てをもって、お前を守りたかった。

朝食を済ませ、細い肩に剣を携えて、メイシンは玄関の戸を開けた。
が、勢いよく飛び出そうとして、壁にぶつかるように足を止める。

驚いた琥珀の瞳に飛び込んできたのは、決まり悪そうにたたずむ、ジェレミーの姿だった。

「。。。入っても、いいかな。。?」
おずおずと尋ねるアクアマリンの瞳を、呆れ顔でメイシンは見返す。
入るも何も、ダメならカスタリア自体にいられるわけがない。
琥珀の少女は、身を翻して、青年に道を開けた。
青年が中に入ると、少女は戸を閉めて剣を立てかけた。

彼女の邪魔をしてしまったと思ったのだろうか。青年は申し訳なさそうな顔をして、もじもじと下を向いている。
「そういうの、嫌いなんだよなぁ」
あたしがいじめてるみたいじゃないか。言いながら、少女は青年の額を、軽く指ではじいた。

(怒ってないってば)

額の痛みに目を瞑った瞬間、彼女の心話が聞こえた。

目を開くと、メイシンは口元をニッと歪めて笑っていた。

「おかえり」

その笑顔が、今までかたくなに閉じていた、彼の心の箍(たが)を外した。

氣が付くと、メイシンは青年の胸に抱きすくめられていた。

 会いたかった。 ずっと会いたかった。
もう離さない。 離れたくない。
愛している。 愛しているよ。 ずっと昔から。

胸に直接響いてくる言葉に驚いて、腕を振りほどこうとした瞬間。

聞こえていた声が、映像に取って代わった。

彼の見てきた過去。彼女に関わる記憶の全てが、走馬灯のように一瞬閃く。

。。。愛している。ずっとここで、お前を守る。

ジェレミーの声に、昔馴染んだ懐かしい声が重なって聞こえた。

(このひと。。。!)

声に驚き、琥珀の目を見開いて、メイシンはジェレミーを見上げた。
見上げる瞳に、大粒の涙が溢れ出る。

この人は、ずっと自分の傍にいたのか?
自分は何も知らず、この人に愛され続けていたのか?
自責の念からか? 彼はずっと自分を傍で守り続けてきたというのか?

。。。愛しているよ。。

自責の念よりも、今この体で感じている彼の感情が、何より確かなものだと、彼女は知っていた。

ジェレミーの白いシャツに、顔をうずめていく。
「ごめん。。。あたし、知らなかった。。ごめん。。。」

傍にいてくれたのに、気付かなかったよ。。。

ごめん。。。佐守。。。。

「気付いてくれたよ」

ジェレミーの声が、漆黒の髪を優しく撫でる。

「今、最高のタイミングで、気付いてくれた」

琥珀の瞳から、涙は流れ続ける。
止め処なく止まることのない涙。
いくつもの時代に積み重ねてきた寂しさを、洗い流す涙。

ずっと、添い遂げたいと願い続けた相手に出会えた、歓喜の涙。

「。。。メイ、俺たちはもう、夢を叶えてる」


氣が付くと、怒涛の更新が続いておりますが。

いろんな意味で再会でした。(爆笑)
ここから私の混乱が始まったのですよ。。。orz
え?ハッピーエンドに見えます?
いやここからが始まりなんだってば。(爆)

やっと追いついたー! ここからが正念場!(個人的に)

冒頭の詩みたいのは、この記事で書いた、佐守からのメッセージでした。

そういうことだったのか、とこんな事態になって納得。
ついに本体現しちゃったよ。わはは。

。。。もう驚きませんとも。えぇ。

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