人の気配のない森の中を、メイシンは歩いていた。
左手には剣を携え、うっすらと獣道が通る上を、草をならしながら歩く。
明るい森だが、ひと際明るく輝く場所へ、その道は続いていた。
獣道が開けた先には、小さな泉があった。
降り注ぐ光に照らされ、水面は輝く。フェアリーダストのような輝きだ。
清らかな泉の傍に、白いドレスの女性が座っていた。
メイシンは思わず立ちすくむ。
髪は蒼。瞳は空を映したような水色。
だが、それ以外は自分に瓜二つの女性が、目の前にいたのだ。
白いドレスの女性は、メイシンを見るなり、ふわりと身を起こし、
漆黒の髪に抱きついた。
「おかえりなさい」
透き通った声が、メイシンの耳元で囁いた。
森がざわめく。
おかえり、オカエリ、おかえり。。。
この森は、彼女と深く結びついているようだった。
少し戸惑ったが、照れるのを隠しながらメイシンはつぶやいた。
「。。ただいま」
黒い髪を抱きしめていた腕が解かれ、蒼の女性は囁いた。
「その、剣は?」
「ああ」
左手に握っていた鞘を、少し持ち上げてメイシンはため息をついた。
「ミカエルに押し付けられちゃった」
苦笑いを返す。
戦いの人生を完遂した自分。
生まれ変わってなお、自分に出来ることは、戦うこと。
だが、
今は少し違う。
我武者羅に斬るだけの自分ではない。
大切なものを守るために、もう二度と、自分の命をないがしろにはしない。
彼女が握る透き通った刃には、一点の陰りも無かった。
琥珀色の瞳が澄んでいるのを見つめて、空色の瞳は微笑んだ。
彼女の素直な微笑みに、メイシンはまだ慣れない。
メイシンの瞳は、澄んだ泉の水を映した。
揺れる水面を見つめたまま、彼女の瞳は、少し沈んだようだった。
「。。。佐守は?」
視線は泉に逸らしたまま、低くつぶやくメイシンを、蒼の女性は少し悲しそうに見つめた。
「会いたいのね、彼に」
琥珀の瞳は、水面の揺らぎを、取り付かれたように見つめていた。
約束していたから。
独りよがりの約束かもしれない。
自分よりも長く生きた彼は、自分亡き後、約束など忘れてしまったかもしれない。
第一、自分が彼の申し出を承諾した覚えも無い。
でも、彼の「約束」があったから、自分は砕け散らずに済んだのだ。
肉体は砕け散っても、魂のひとかけらは、彼の元へ還ることが出来た。
だからこそ、いま自分はここにいる。
今なら、多分、素直に言えるだろう。
「ありがとう」と。
はい、後半に続きます☆
大まかな内容は、瞑想してる間にイメージで来るんですが、
書き進めるうちに、もっと詳しく出てくるんですよね。
心理描写が。
ひねり出して出てくるんでなくて、自然とこんな風だな、と思って書ける。
昔は小説書くのに頭ひねり続けたのに、今はなんて楽なんだ。(笑)
いやいや、逆に今の方が、「言葉は不自由だ」と感じるんですが。
イメージや感情で受け取ったものを、完璧に言葉で表現するのは、不可能に近い。
いや、私の語彙が足らないのは置いといて、(^_^;)
日本語だから、英語だからっていう次元じゃなく、三次元の表現の限界を感じるっていう感じ。
いや、それはさておき。
メイシン、見事な復活ですね☆
そこまで吹っ切れてるとは思わなんだ(笑)
そしてマーシアと再会。
この二人。。まさかとは思うが、ツインソウル??
見た目があまりにもそっくりさんなので。。。
いえ、まだ確信が持てないので、保留にしときます。(^ー^;)
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