見透かされた。
それが気に食わなかった。
自分でも気づかなかった感情に翻弄されながら、剣を振るっている自分が。
吐き出すように、彼女は感情の光ごと、大天使に剣をぶつけていた。
倒れるまでやる。
全て出し尽くすまで。
二人を覆う光に、舞い上げられた薄色の花弁が、巻き上げられ煌びやかに舞い続けていた。
やがて、薄桃色の絨毯に剣をつきたて、しがみつくように彼女は膝をついた。
息切れがひどい。
彼女を包んでいた金色の粉は、静かに空へ消えていった。
ミカエルは、彼女を見下ろしながら、静かに剣を納めた。
桜の根元に、ゆったりと腰を下ろす。
少女には、立ち上がる力はもうなかった。剣にしがみつく手さえ震えて滑り落ちる。
そのまま、彼女は花弁の上に倒れこんだ。
桜の木の下、舞い落ちる白いものだけは見える。
静かに、それは降り積もっていった。
「お前は、何のために戦う」
ミカエルの声が、頭の中で静かに響いたのは、少女の息遣いが穏やかになった頃だった。
生きるために。
物心ついた頃から、他に選択肢はなかった。
殺されるのか。それとも殺すのか。
生きるためには、戦うしかない。それだけ。
花びらの間から、高い枝花を覗いて、光を仰ぎ見る。
あの光は、自分にはまだ眩しい。
「”今”のお前に、戦う必要があるのか?」
そう、わからない。
ここには、何もない。
傷つけるものも、傷つけられるものもいない。
こんなところに、なぜ自分がいるのだ。
ここでは、この刃をどうしてよいかわからない。
・・・そうか。だから、
「ならば、お前は盾になれ」
・・・盾?
「剣であろうがバケツだろうが、刃を受け止めるものはみな”盾”だ。
自分から切りつけるなら”剣”になる」
受け止めるだけでいい。その剣を盾にして。
先ほどの、俺のように。
呆れたような、少女の声が聞こえた。
「簡単に言うな」
「簡単さ。お前が俺をサイテーだと思わなければな」
口端を軽く上げながら、ミカエルは立ち上がった。
桜の上から降り注ぐ光で、細やかな表情は見えない。
その逆光に溶けるように、大天使の姿は消えた。
暖かい光が、花びらとともに降り注ぐ。
ここは、とても暖かい。
身を護るものなど、何も要らないくらいに。
そう、必要がない。手放せばいい。
少女は、琥珀の瞳を閉じて、深く息を吐いた。
その体から、白い光が上へと伸びていく。
彼女を覆う花びらが、舞い上がり渦を巻いた。
桜の枝を幾重も突きぬけ、青い空へと。どこまでも高く。
やがて光の柱は消え、桜の花は再び彼女の上に舞い降り、その体を薄桃に染めていった。
少女は突き立てたままの剣を振り返った。
金属的な光を放っていたはずのそれは、今、クリスタルの聡明な白に輝いている。
ミカエルが操る、セレナイトの剣。
全ての闇を断ち切るための、盾となる刃。
彼女はゆっくりと身を起こした。花びらを纏いながら立ち上がる。
剣を引き抜くと、それは桜の枝からこぼれる光を透かして、虹色に輝いた。
「・・・・あんた、やっぱりサイテーかも」
自嘲気味に口元を歪めると、少女は剣を鞘に納めた。
彼女の意思に従うように、それは一瞬で小さくなり、手のひらに収まるほどの「棒」に変わる。
少女は、それを握り締めた左手を、黒いポケットに突っ込んで、桜の木を後にした。
はぁぁ~っ 終わりました!
コレは完全に桜のヒーリングだよね。。。
メイシンの口の悪さは私譲りかも。。ぐふ。ゴメンナサイ。
1のほうも、アップしてから何度も手直ししちゃって申し訳ない。
十分な校正時間がとれなくて。これも後でちょこちょこ直すかも。
なんか吹っ切れたみたいですねぇ。上のワタシ。
やはり、彼女は「過去」ではなくて、「過去を背負ってる未来の私」だったようです。。そんな感じがするだけやけど。
でもま、今回の件で過去をスパッと切り離しちゃったようなので、
「過去のメイシン」と、「過去を振り切ったメイシン」とは、全く別物として認識してます。
ていうことは。やっぱこの人、私のハイヤーさんなのね。。。( ̄∇ ̄;)
でももう一人、気になる人がいるんだけどね。。。過去と未来を統合しようとしているらしい、もう一人の彼女が。。
どういう位置関係なのかはよく分からんですが、メイシンよりはちょっと上の方にいるような。
メイシンのほうはその後、彼女の変化に伴って、どんな格好になったのかと思ったら、白Tシャツの上にエスニックなチュニックを着ているイメージが。
足元も軽やかになって、短いスキニーパンツに皮ひものサンダル履いてました。相変わらず活発そうだが、何だこの変わりようは。( ̄∇ ̄;)
ちなみに。
その騒動があったお花見の後、長男が熱を出してダウン。
。。。コイツ、きっと私に繋がりすぎ。(爆)
と思って、ミカエルにコードカットを頼むと、
「あたしがやるよ」
とメイシンが剣もって出てきて、エイヤッとコードをめった切りにしてくれました。めっちゃ楽しそうに切ってたなぁ。。(^-^;)
その後エネルギー注入までしてくれたようで。
長男の熱は、翌朝にはすっかり下がってました。
なんだかすっかりハイヤーさんらしくなってきたようで☆
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