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【星紡夜話】桜花2・剣の盾

見透かされた。

それが気に食わなかった。

自分でも気づかなかった感情に翻弄されながら、剣を振るっている自分が。

吐き出すように、彼女は感情の光ごと、大天使に剣をぶつけていた。
倒れるまでやる。
全て出し尽くすまで。

二人を覆う光に、舞い上げられた薄色の花弁が、巻き上げられ煌びやかに舞い続けていた。

やがて、薄桃色の絨毯に剣をつきたて、しがみつくように彼女は膝をついた。
息切れがひどい。
彼女を包んでいた金色の粉は、静かに空へ消えていった。
ミカエルは、彼女を見下ろしながら、静かに剣を納めた。
桜の根元に、ゆったりと腰を下ろす。
少女には、立ち上がる力はもうなかった。剣にしがみつく手さえ震えて滑り落ちる。
そのまま、彼女は花弁の上に倒れこんだ。
桜の木の下、舞い落ちる白いものだけは見える。
静かに、それは降り積もっていった。

「お前は、何のために戦う」
ミカエルの声が、頭の中で静かに響いたのは、少女の息遣いが穏やかになった頃だった。

生きるために。
物心ついた頃から、他に選択肢はなかった。
殺されるのか。それとも殺すのか。
生きるためには、戦うしかない。それだけ。
花びらの間から、高い枝花を覗いて、光を仰ぎ見る。
あの光は、自分にはまだ眩しい。

「”今”のお前に、戦う必要があるのか?」
そう、わからない。
ここには、何もない。
傷つけるものも、傷つけられるものもいない。
こんなところに、なぜ自分がいるのだ。
ここでは、この刃をどうしてよいかわからない。

・・・そうか。だから、

「ならば、お前は盾になれ」
・・・盾?
「剣であろうがバケツだろうが、刃を受け止めるものはみな”盾”だ。
自分から切りつけるなら”剣”になる」
受け止めるだけでいい。その剣を盾にして。
先ほどの、俺のように。

呆れたような、少女の声が聞こえた。
「簡単に言うな」
「簡単さ。お前が俺をサイテーだと思わなければな」
口端を軽く上げながら、ミカエルは立ち上がった。
桜の上から降り注ぐ光で、細やかな表情は見えない。
その逆光に溶けるように、大天使の姿は消えた。

暖かい光が、花びらとともに降り注ぐ。
ここは、とても暖かい。
身を護るものなど、何も要らないくらいに。

そう、必要がない。手放せばいい。

少女は、琥珀の瞳を閉じて、深く息を吐いた。
その体から、白い光が上へと伸びていく。
彼女を覆う花びらが、舞い上がり渦を巻いた。
桜の枝を幾重も突きぬけ、青い空へと。どこまでも高く。

やがて光の柱は消え、桜の花は再び彼女の上に舞い降り、その体を薄桃に染めていった。

少女は突き立てたままの剣を振り返った。
金属的な光を放っていたはずのそれは、今、クリスタルの聡明な白に輝いている。
ミカエルが操る、セレナイトの剣。
全ての闇を断ち切るための、盾となる刃。

彼女はゆっくりと身を起こした。花びらを纏いながら立ち上がる。
剣を引き抜くと、それは桜の枝からこぼれる光を透かして、虹色に輝いた。
「・・・・あんた、やっぱりサイテーかも」
自嘲気味に口元を歪めると、少女は剣を鞘に納めた。
彼女の意思に従うように、それは一瞬で小さくなり、手のひらに収まるほどの「棒」に変わる。
少女は、それを握り締めた左手を、黒いポケットに突っ込んで、桜の木を後にした。


はぁぁ~っ 終わりました!
コレは完全に桜のヒーリングだよね。。。
メイシンの口の悪さは私譲りかも。。ぐふ。ゴメンナサイ。

1のほうも、アップしてから何度も手直ししちゃって申し訳ない。
十分な校正時間がとれなくて。これも後でちょこちょこ直すかも。

なんか吹っ切れたみたいですねぇ。上のワタシ。
やはり、彼女は「過去」ではなくて、「過去を背負ってる未来の私」だったようです。。そんな感じがするだけやけど。
でもま、今回の件で過去をスパッと切り離しちゃったようなので、
「過去のメイシン」と、「過去を振り切ったメイシン」とは、全く別物として認識してます。
ていうことは。やっぱこの人、私のハイヤーさんなのね。。。( ̄∇ ̄;)

でももう一人、気になる人がいるんだけどね。。。過去と未来を統合しようとしているらしい、もう一人の彼女が。。
どういう位置関係なのかはよく分からんですが、メイシンよりはちょっと上の方にいるような。

メイシンのほうはその後、彼女の変化に伴って、どんな格好になったのかと思ったら、白Tシャツの上にエスニックなチュニックを着ているイメージが。
足元も軽やかになって、短いスキニーパンツに皮ひものサンダル履いてました。相変わらず活発そうだが、何だこの変わりようは。( ̄∇ ̄;)

ちなみに。
その騒動があったお花見の後、長男が熱を出してダウン。
。。。コイツ、きっと私に繋がりすぎ。(爆)
と思って、ミカエルにコードカットを頼むと、
「あたしがやるよ」
とメイシンが剣もって出てきて、エイヤッとコードをめった切りにしてくれました。めっちゃ楽しそうに切ってたなぁ。。(^-^;)
その後エネルギー注入までしてくれたようで。
長男の熱は、翌朝にはすっかり下がってました。
なんだかすっかりハイヤーさんらしくなってきたようで☆

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